令和4年(2022年)1月1日から施行される改正電子帳簿保存法の施行前に、電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)が国税庁から公表されています。
令和4年(2022年)1月1日からの領収書等の保存方法の留意点で述べたとおり、申告所得税と法人税で、ネットで購入した際に受け取るPDF領収書等をPC等に保存する代わりに紙に印刷して保存することで代替することは令和4年(2022年)1月1日以降できなくなります。
具体的には、電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイル(=電磁的記録)を、それぞれ、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にする義務が、個人事業者及び法人に生じることになります。
では、税務調査の時には、納税者に対し、何が要求されることになるのでしょう。
同通達7-7から以下に抜粋します。
・・・「電磁的記録の提示又は提出の要求に応じること」とは、・・・法の定めるところにより備付け及び保存が行われている国税関係帳簿又は保存が行われている国税関係書類若しくは電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、税務職員から提示又は提出の要求(以下7-7において「ダウンロードの求め」という。)があった場合に、そのダウンロードの求めに応じられる状態で電磁的記録の保存等を行い、かつ、実際にそのダウンロードの求めがあった場合には、その求めに応じることをいう・・・
とりあえず、税務職員のダウンロードの求めに応じる必要が出てくるわけです。
そして、「ダウンロードの求めに応じること」と、「提示又は提出の要求に応じること」が同義であることも分かります。
税務調査手続については、国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達の制定について(法令解釈通達)という通達があるのですが、その中に1-6として「物件の提示又は提出」の意義という項目があります。以下に引用します。
・・・「物件の提示」とは、当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該物件(その写しを含む。)の内容を当該職員が確認し得る状態にして示すことを、「物件の提出」とは、当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該職員に当該物件(その写しを含む。)の占有を移転することをいう。
以上から、次の2つのことが言えそうです。
1.電磁的記録は物理媒体に記録されるとはいえ、記録そのものを物理的に提示又は提出することはできない。したがって、税務調査の現場では「ダウンロードの求めに応じる」ことになる。
2.提示又は提出すべき物件は電磁的記録であり、PCや記録媒体ではないので、納税者がPCを操作して税務職員の求めに応じ電磁的記録(の写し)を提示又は提出するのであり、税務職員がPCを操作するわけではなく、又、PCや記録媒体の占有を移転する必要はない。
我々もまだ手探りですが、電子帳簿法改正への対応についてのご相談はこちらへどうぞ。
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