令和3年度税制改正大綱に記された次の一文の意味をかみしめなければならない時期になりました。
「申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は、廃止する。」
税制改正大綱のP.98です。
簡単な日本語にすると、次のようになります。
申告所得税と法人税で、ネットで購入した際に受け取るPDF領収書等をPC等に保存する代わりに紙に印刷して保存することで代替することは(令和4年(2022年)1月1日以降)できなくなります。
ひどい話だと思いませんか?
以下、国税庁が公表しているQAを辿ってみます。
「電子取引」と文字にすると大仰ですが、みなさん、日々行われていると思います。
電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~の問2を見てみましょう。
「具体的には、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。」
インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引って、要はネットで買い物することですよね。
次に、「電磁的記録の保存」を解読します。Q&Aの問3です。
「具体的に、この電磁的記録の保存とは、電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイルを、それぞれ、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にすることをいいます。」
紙保存という代替廃止された結果どうなるか。QAの問43です。
「災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。」
ではどうやって電磁的記録の保存を行いましょう?QAの問12です。
「例えば、以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。
1 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。
例) 2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書 ⇒「20221031_㈱国税商事_110,000」
2 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。
3 【問24】に記載の規程を作成し備え付ける。
※ 税務調査の際に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータについて提出してください。」
ま、できなくはないですよ。でも、その場で印刷してはい、おしまい、だったところが、ファイル名を付け替えて保存というひと手間増えることになりますからね。さらに、税務調査の時はそのファイルを見せろと。
私には逆行型DXしか思えませんが、みなさん、いかがでしょうか?
電子帳簿保存法改正に伴う代替措置の廃止に関するご相談はこちらにどうぞ。
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